白ゆき姫殺人事件 感想

!ネタバレ注意
!台詞や話の展開について多少記憶違いから間違えてるところがありますが、脳内補完でお願いします。

今日渋谷でつい先日上映が始まった「白ゆき姫殺人事件」見てきました。
これはなんの映画かは忘れましたが見に行った映画館の最初の予告CMを見て「これは絶対見なければ!!」と思った作品です。
原作が「告白」の湊かなえの作品であることも理由の一つです。
私は映画しか見ていませんが、作品のえぐさに魅了されておりまして、これは見るしかない、どんな話になるんだろうとわくわくして見に行きました。

あらすじ(公式サイトより引用)
国定公園・しぐれ谷で誰もが認める美人OLが惨殺された。全身をめった刺しにされ、その後火をつけられた不可解な殺人事件を巡り、一人の女に疑惑の目が集まる。彼女の名前は城野美姫。同期入社した被害者の三木典子とは対照的に地味で特徴のないOLだ。テレビ局でワイドショーを制作するディレクター・赤星雄治は、彼女の行動に疑問を抱き、その足取りを追いかける。取材を通じてさまざまな噂を語り始める、美姫の同僚・同級生・家族・故郷の人々。「城野さんは典子さんに付き合っていた人を取られた……押さえていたものが爆発したんだと思う、あの事件の夜」「小学生の頃、よく呪いの儀式をやってたって。被害者の殺され方が呪いの儀式と同じでしょう?」「犯人です、間違いありません!」。テレビ報道は過熱し、ネットは炎上。噂が噂を呼び、口コミの恐怖は広がっていく。果たして城野美姫は残忍な魔女なのか? それとも──。
原作は『告白』『北のカナリアたち』と映画化が相次ぐベストセラー作家・湊かなえによる傑作長編。映画『アヒルと鴨のコインロッカー』『ゴールデンスランバー』など複雑な物語を鮮やかに描く名手・中村義洋監督が、関係者の証言や匿名の人々によるTwitterの投稿、ワイドショーの報道などを次々と積み重ね、かつて観たことのない重層的で現代的なサスペンスを生み出した。

あまり事前にどんな話かは調べずCMの雰囲気だけで見に行ったのですが、大満足でした。
私が単純なだけかもしれませんが、最後の最後までラストの展開に気づくことは出来ませんでした。
結末にえーーーまじかよ!!となりながらも色んな伏線が一気に回収されて、うわーーなるほどなーーー!!と心の中で叫びました。
非常に見やすい映画だったと思います。




あと、個人的に魅力的だったのが事件について語っている時の映像。
それぞれが同じ事件について話しているはずなのに、少しずつ映像が異なっているところが、面白かったです。
「人は自分の都合のいいようにしか話さない」
本当にその通りでした。わかりやすい点で言うと





ここからガッツリネタバレ注意!






典子(菜々緒)が先輩の送別会である一次会で具合が悪いと話しているとパートナーである里沙子(蓮佛美沙子)が隣で「大丈夫ですか?」と心配そうに声をかけます。先輩も後ろから「無理しなくていいのよ?」と声をかけそれに典子は「大丈夫です、お世話になった先輩の送別会なんですから…」と返します。
里沙子「典子先輩のそういうところ、私好きです」
典子「そんなこと言ってくれるの、里沙ちゃんだけよ?」その会話の後ろから里沙子と同期のみっちゃん(小野恵令奈)も加わり「私だって好きですよー」と会話に入ってきます。
これが、里沙子の証言です。

これが里沙子の同僚、みっちゃんの証言になると

具合が悪いとつぶやく典子の隣に里沙子がいない。その代わり後ろにいるみっちゃんが心配そうに声をかけます。そして里沙子と典子のやりとり(「先輩のそういうところ〜」)の部分は全てみっちゃんと入れ替わっていました。

このように二人の証言、どちらもさも自分は気の使える良い人間であることをさりげなく主張しています。まあこの程度なら可愛いものです。でも実際(城野美姫の証言)では

具合が悪いとつぶやく典子に里沙子もみっちゃんも反応しない(里沙子は席から外れておりみっちゃんは後ろから典子の席にある天ぷらを黙って取るだけ)そして、席に戻ってきた里沙子は典子に「風邪引いた時はビールですよビール♪」と風邪薬を呑んでいた典子にビールを注ぎ飲むよう煽ります。

おい!!!全然違うじゃん!!Σ(゚д゚lll)ちなみに二人の証言では一次会のとき少し離れた席で呑んでいた城野美姫(井上真央)の隣には誰もいない、まるでひとりぼっち浮いた存在であったかのように話していますが、実際は隣に女性はいますし箸を落とし拾うシーンでも周りが気づいて声をかけたりしてあげるんです。なのに最初の二人の証言から城野美姫のイメージは格段に下がってしまっています。

他にもたくさんこのようなシーンは沢山あります。全て書き切れませんがとにかくそこが面白い!話のズレ、キャラクターのイメージ、話す相手によってコロコロ変わり見ているこっちが混乱させられます。

最初は、城野美姫が典子を殺したんだろうな…と見ているこっちまで疑いたくなるような流れだったのに、だんだんあれ?あれ??城野美姫いい子じゃん…病んじゃっただけ…?あれ、典子やっぱり性格悪いな…え、里沙子もそう思ってたの?え?は?里沙子は典子のこと尊敬してたんじゃ?城野美姫のほうが芹沢ブラザーズ好きだったの?え?ライブ??

結果
城野美姫はただ、好きなアーティストのライブに行きたかっただけでした。

まあ好きなアーティストの1人を怪我させてしまったのはあれですが(しかしあれは普通に向こうのミスもありますけどね、ファンの前でアーティスト歩かせて警備員1人って…、階段降りるときも本人手すり捕まるかファンと距離おくかしろよ…と思いましたよ)
帰ってテレビつけたら狂気殺人犯呼ばわり、逃げ場もなくし自殺まで追い込まれてしまいます。可哀想でなりません。そして彼女を自殺まで追い込んだ里沙子の凄さに恐怖でした。(自殺に追い込まれた理由は自分が犯人にされた、以外にも色々ありますが、引き金となったのはこの事件のせいであることに間違いはないでしょう。)
最初のくだりからラストにかけて、里沙子が城野美姫を犯人にしたてあげる流れがあまりにも自然で、感動しました。映画館でもDVDでもいいのでもう一度は見たい作品です。

そしてネットはやっぱり怖い!
個人情報なんて関係ねえぜ!!って勢いで垂れ流しされる城野美姫の情報。現代のネットに対する意識の低さが目に見えましたね。特に赤星(綾野剛)くんはクズでしたね!正直ラスト、犯人だと決めつけてた城野美姫が犯人ではなく誤った情報を流したということで色んな人に謝りに行く赤星を見てざまーーーって思いました。
でもこういう人、沢山いるんです。実際ホテルで働く従業員が、芸能人誰々がきてたー!なんて呟いてそれがホテルのほうにばれてクビにされたりとか、他人事じゃないよなあ…と感じました。

まともな人間は城野美姫の親友とテレビの女子アナくらいだなーと思いました。まるで城野美姫が犯人であるかのように進める番組で女子アナだけはずっと、城野美姫さんが犯人であると確定しているわけではないですよね?と言い続けてましたしね。なのに女子アナが謝罪をする矛盾…。そして司会(生瀬勝久)には終始コメントにイライラさせられるし…謝罪の件もそうですけど、実際あーあるあると感じる部分が数多く盛り込まれていましたね。あと、ニュースの内容がとてもリアル笑

でも告白と違って、ラストは少し報われる部分もあって、告白を見終わった後の食えない感じがなかったのが良かったです。城野美姫は仕事でも学校の友人でも、あげく家族にさえ、殺人の疑いの目をかけられていたわけですがそこに、親友の夕子(貫地谷しほり)だけが、彼女を信じていた。ラストのロウソクのシーンは、彼女にとって唯一のいいこと、だったのかなあと思います。

井上真央さんの演技を見て、「はわわ…つくしちゃんが…はわわ…」と思ったのは私だけでしょうか笑